テラノハ

言葉は涙だ。とベケットは言った。

2017-06-21の膨満

今日は雨。それも大雨。いままでの遅れを取り戻そうとするかのような大雨。梅雨は僕と同じで計画性がないらしい。

昨日は帰ってから胃腸が落ち着かなくて咳も出だして日中クーラーを浴び続けたツケがきて自律神経がだいぶやられてた。
起きたけど起きてなくてもう布団に同化するしかないよと思ったが、岡山からわざわざG2が来てるので頑張って起きて電車に乗った。ジメジメした電車できくゆらゆら帝国は帰りたさを増してきたので、RADWIMPSのなんでもないやをきいてなんでもないやと言い聞かせる。

本日の美術館巡り一つ目は東京都美術館で『バベル展』
f:id:beplum:20170621234049j:plain
大学の時に知ったブリューゲルバベルの塔がついに見られるというのでとても嬉しい。このブログでバベルの塔を建てるのだとか息巻いたことがあるが、その時に想定していたのはまさにこのバベルの塔で永劫に積み続けられるレンガが雲まで届く威容にかくありたしなどと思っている。
ブリューゲルだけじゃなくてネーデルラントの画家の作品も結構来てて、ヒエロニムス・ボスもわりと目玉だった。高校の時に快楽の園という作品を知ってから気になっていたボスだけど、快楽の園は来てなくて、変な魚の絵とかが来てた。ネーデルラントというと今のオランダとかベルギーとかなんだけど、ヨーロッパと言って想像してるヨーロッパよりやや北の方で、きっと曇りや寒い日も多いのだろうし、その風土もあってか色味のある絵でも画面の彩度は低くて、エッチングのカケアミの集中力が尋常じゃない。もはや強迫神経症的なまでの追い込みと根気で、作品のサイズもそんなに大きくない。
メインディッシュのバベルの塔も想像の3分の1くらいの大きさしかなくてびっくりする。その上で感じるスケールはめちゃくちゃ大きくて凄い。てっぺん付近で積まれているレンガはとても赤くて下層部はだいぶ落ち着いた色合い。その赤さがそのまま生命力のようにも思えるし、根冠細胞の活発な細胞分裂じみていて不気味に美しい。描かれている雲も日本画でいう『洛中洛外図』みたいな省略や想像の余地としての雲じゃないのでやばい。作業してる点のような人間は航空写真を見た時みたいだけど、ちゃんと作業してる。
拡大された3Dとかが見やすかったので嬉しかった。

二つ目は国立西洋美術館で『アルチンボルド展』
たまに美術の教科書に載ってる野菜で描かれた肖像画が有名。
f:id:beplum:20170621235453j:plain
こんなコーナーがあった。なんというSNS映え意識。にしても髪の毛一種類なのは笑う。

まぁ変な絵なのである。離れてみたら人間の顔に見えるけど近くで見たら野菜や花や動物や魚みたいなのがズラーッとあって変な感じ。わりと最近の人なのかと思ったらハプスブルク家に抱えられてた宮廷画家でびっくり。古びてないというかシュールレアリスム的でもあるのかな。葛飾北斎北斎漫画で人間ギッシリの人の顔とか描いてたりしたけど、それに近いものもあった。畸形な細胞分裂というか科学実験の産物みたいでもある。
肖像画と静物画を繋ぐ画家という説明に違和感を解消してもらう。そりゃ発生の順序としてはそうなるはずで、そういうハイブリッドもありなのかよーと驚く。ハプスブルク家の力で博物学にも精通できたのでこんなに色々描けたらしい。
『ミッケ!』という絵本が好きだったが、それに近い情報量の多さがあって楽しかった。マステが可愛かったがガマンした。
このあたりでようやく雨が止むが、風はすごくて帽子を飛ばされた。

三つ目は『君の名は。』で瀧くんと奥寺先輩がデートしたとこでお馴染み国立新美術館で『ジャコメッティ展』。前回の『ミュシャ展』が嘘みたいに空いていてとても快適だった。
ジャコメッティ倉敷大原美術館にも1点あって、展示室から展示室へ降りる階段の先にいる変な細長いやつである。ブロンズという素材にしてはひどくアンバランスで、存在のギリギリさを表すような細い人である。
f:id:beplum:20170622000504j:plain
回顧展だけあって細い人だけじゃなくてスケッチとかもあった。「見たままを見たとおりに描く」というのがジャコメッティ一生の命題だったらしい。視神経から脳へ伝わった電気信号が見せる画像と見たとおりの景色の質感は似て非なるものであるが、そういう誤差に“目をつぶる”ことで視覚芸術は制作や鑑賞を行うことが出来る。それなのにジャコメッティはそういう右足を出したと同時に左足を出すみたいなことに神経を使っていてすごい。長時間拘束するからプロのモデルじゃなくて近親者をモデルにしたというあたり、やばさが分かる。作業中にモデルが少しでも動くとあっ!と大きな声を出したというエピソードを読んでジャコメッティの目の時間感覚の集中力の鋭さを思う。「古池や蛙飛びこむ水の音」と芭蕉は詠んだが、集中力の彼方の静寂に水音の大音量にびっくりしたみたいなエピソードだなーと思った。同時にひどく神経をすり減らしそうでご苦労さまでしたと言いたい。ジャコメッティの作品はブロンズだからという理由もあるのかもしれないが台座や脚部が極端に大きい。それはまるで双子葉類を土ごとごそっと植え替えるように掘り出したようにも見えて不思議だった。

そのあとG2と『キングアーサー』を見たが、体が重すぎて瞼も重すぎて結局クライマックス前で寝てしまった。寝てしまったが、最大手サークルのガイリチだけあってジュード・ロウのかっこよさはまじハンパなく、序盤の編集のテンポ感がすごく好きだった。アンクルと同じくダニエル・ペンバートンの音楽もキャッチーだった。

バスタ新宿までG2をお見送りしてTSUTAYAにいったが、クソほどめんどくさかった。雨は上がったけど汗と地面の濡れた匂いと人いきれで夏祭りのあとみたいな渋谷は人の多さと裏腹に(あるいはそれゆえに)とても寂しかった。ウロボロスを見始めたとこだったのにごそっと借りられてて悔しい。ホドロフスキーも大体見たのでオンリーゴッドとコンスタンティンとかを借りた。
帰りの電車でいつもより丁寧にこのブログを書いていたら消えたので頑張ってまた書いている。
体力的に弱ってる時にめちゃくちゃハードに活動してしまったが、明日は寝込みそうで心配である。
もうすぐ稽古がはじまるが、体力的にやっていけるか心配だ。そうなったらそうなったでブログに書くことが増えて、みんな人の不幸の方が読み応えあるしいいかなとも思う。

そんな感じの1日じゃった。