テラノハ

言葉は涙だ。とベケットは言った。

高校の卒アルの話

高校の卒アルには白紙の見開きが巻末についている。
メッセージを書いてもらうために用意された代物で、そこで交友関係が浮き彫りになったりもするし、しょうもない一言書くやつもいれば、素敵な文句を送ってくれる人もいて、卒業式のさわやかさに一層の滋味をもたらしてくれる。
人生で卒業式にアルバムを貰ったことはあるが、高校の卒アルほど沢山メッセージをねだったものはない。多分これからもないだろう。

僕は自分で言うのもなんだけどわりと困った生徒だった。
別に喧嘩に明け暮れたわけでもないし、女の子とっかえひっかえして孕ましたりもしていない。
ただ中々教室に上がってこない生徒だった。
高2の冬から三ヶ月ほど不登校をして、春の補習でどうにか進級できたと思ったら新しいクラスに行かずに保健室と図書室を行ったり来たりしていた。
それでも5月くらいから教室に行きだしてしれっと馴染んだりしたので、僕を受け入れてくれていいクラスだったなと思う。
なんでこんな話をしたかと言うと、卒アルの一言をふと思い出したからである。

僕が大好きだった国語の先生が「君の正体は乙女」と書いてくれた。
その時はめんどくさいやつって事かなーと思ったが、今改めてその言葉の意味を噛み締めている。
傷つきやすいから誰にでも優しくしようとしてたし、人の気持ちが分からないからなんとか汲み取ろうとしていたし、読んだものや見たものにはすぐ影響された。自分で自分のことを乙女とか言い出すのは流石にやばいとは思うが、どちらかといえば乙女成分の多い方だと思う。
なにより深夜に自分語りをしている点がなにより乙女である。
結局乙女は大人になる前に死ぬ生き物だと思うが、僕の場合は未だにしぶとく生き延びているらしく、今日みたいな季節の変わり目の夜にふっと横顔を見せる。高校で過ごした時間よりも卒業してからの時間の方が多くなったのに未だにこんなことを書いてしまうから人間というのは進歩がない。進歩や成長だけが追い求められるべきとも思えないが、人間の本質はそうそう変わらないのかもしれない。
深夜に盛り上がるだけ盛り上がって読む人を置いてきぼりにするのも、また乙女。