テラノハ

言葉は涙だ。とベケットは言った。

2017-06-10の偶然

夜の明けるのを見ながら、実家から送られてきたインスタントの尾道ラーメンをすすり、諦めの中で目を瞑った僕が次に目を覚ましたのは意外な時間だった。
10:15。
およそ体内時計と生活リズムを破壊している人間が目を開けるだけでなくちゃんと起きたことで我と我が目を疑ったがちゃんと起きている。
LINEを確認すると、大学時代の先輩が東京に出張できていてお昼を一緒にどうかとお誘いが来ていた。
なんたる天佑。なんたる偶然。
珍しくちゃんと起きた日に珍しくお誘いがある。これはある種の徴だと僕は確信した。

僕は運命を信じないが、偶然は愛することにしている。

しかしながら懐は電車賃すら危ういので泣く泣くプロジェクターを買おうと四月から始めた貯金箱を開けた。志半ばで倒れるものはいつだって英雄になるが、この時僕の貯金箱も英雄になった。
先輩とは恵比寿で中華のランチを食べておしゃべりした。恋バナとかした。先輩の話に興奮したら少しヤバイ人みたいになってしまい心配された。やっぱり持つべきものはきれいなお姉さんの先輩である。ごちそうさまでした。

先輩をお見送りしてから照りつける初夏の日差しの中で僕は決める。信濃町まで歩いちゃらぁ。
熱中症が怖いのでポカリを飲みながら5キロを歩く。
たまたま通りかかった青山の伊藤忠アートプラザでミュシャ展がやっていてびっくりした。Twitterでみて行こうかなと思っていたがこんなとこにいるとは思わなかった。なんたる天佑。なんたる偶然。
おもにアールヌーボーのポスターや商業デザインメインだったのでこの前やってたスラブ叙事詩前夜という感じだった。写真もOKだったのでパシャパシャした。

銀杏並木は初夏の日差しで道に木漏れ日の模様をうつし、テラスの人々は木陰で涼みながら午後のお茶を嗜む。青山は優雅でいいとこだなーと思っていたら並木の隙間から聖徳記念館がにょっきり顔を出して僕はびっくりする。もう信濃町ついたようなもんじゃわ。

アトリエではちょうど家を出たの通し稽古中で、Aチームのダメ出しから客席にいた。Bチームの通しを見る。
そこはかとない百合みがあるんですよ、家を出た。
最近Twitterで百合漫画を探して読んでいるのでなんというか勝手に百合みにニッコリしていました。
あとなんで百合漫画好きなんかなーと思ったら、腐女子はどうしてBLが好きなのかと聞かれて女の役割から解放されるからでは、という言説を見たことを思い出し、僕は男の役割から潜在的に逃げたいんだなーと1人納得した。いや、逃げたいとはまた違うけど。この前書いたみたいにチンコで恋してないんすよね百合漫画は。もちろん好きな気持ちはあるけど、ちゃんと内面の葛藤や躊躇いがあるのがいいです。本能を言い訳にしてないと思う。知らんけど。

家を出た、はサナトリウムっぽい雰囲気が好きな作品だったけど舞台として立ちあげるにはスピード感がある若さの舞台やなと思った。あといきなり叫んだり乳揉んだり、とても劇的でよい。

稽古が終わったら今回出演しない先輩たちからカレーの炊き出しがあったので僕もお相伴に預かる。カレーおいしい。おうちカレーでじゃがいもとにんじんがゴロゴロしててお店で食べれんやつ。嬉しかった。

あと同期の女子からブログ読んだよと言われ(チンコで恋するのやめようのやつ)、風俗でバイトしてるのを言い当てられたみたいな気分になった。なお風俗でバイトしたことは無い。
わかるよとも言ってもらえたのでとても嬉しかった。まぁ男も女も寂しいもんねー(丑三つの村かな)。
いまんとこ転校生感とか不登校生感が拭いきれずそそくさとアトリエをあとにした。

今日は比較的かなりいい1日だった。
偶然は家の中にはない。ちょっとだけ無理して家の外に出てみないと味わえない。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』でマリがシンジ君に言う「だけどなぁ、そうやっていじけてたって、なんにも楽しいことないよ」をまた噛み締める。

今日の日はさようなら、また逢う日まで。