テラノハ

言葉は涙だ。とベケットは言った。

5月に見た映画ベスト3《家で見た篇》

5月に見た映画ベスト3
《家で見た篇》

プライベート・ライアン(1998、スティーブン・スピルバーグ
2016年の4月、下北沢の本屋B&Bで開かれた田中泰延さんのトークショーで紹介されてからずっと見よう見ようと思っていた作品。
冒頭15分のオマハビーチのシーンはその後のアクション演出に大きく影響を与え、試写会で崔洋一が爆笑していたときき、どんなもんやと思ったが凄絶だった。
映画を見てるという居心地のよさを徹底的にすり潰すかのように臨場させる映像と音の暴力。人がされて嫌なことをすすんでやるいじめっ子みたいなモチベーションでこれでもかとつるべ打ちされる人体破壊のオンパレード。
やっぱり映画はハッタリというか掴みが大事なんですね。ボクシングで最初にグローブをタッチするところでいきなり顔面バチコーンかますやつが勝つみたいなね。『ラ・ラ・ランド』もそういうタイプ。クラクラさせてしまえばあとはこっちのもので引き込めてしまう。
映画としては求道者の答えのない問いみたいな前半はまるで不条理演劇かよーと思った。ライアンなんしとんねん!みたいな。どこやねんみたいな。
ほんで終盤は『七人の侍』よろしく作戦に作戦を重ねて大部隊を迎え撃つという燃える展開。全員強いわけじゃなくて通訳の人は弱っちいのがいかにもって感じ。
「天使が来た」ってセリフがよかったです。

ブエノスアイレス(1997、ウォン・カーウァイ監督)
『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督が今作の照明とか演出を参考にしたと聞き鑑賞。
まさしくキーカラーが大事にされてて全編にわたって春の夕焼けみたいな黄色がきれい。
同性愛の映画ってあんま想像つかんけどこれは『チョコレートドーナツ』とか『トム・アット・ザ・ファーム』みたいなツライツライ系じゃなくて不器用なラブのお話だった。旅先で喧嘩すな。
なんというかラブロマンス映画ってニガテ意識があって、というのはどう考えても自分に置き換えて見れない設定のが多いからで好きなやつを挙げるなら『恋はデジャヴ』とか『アバウト・タイム~愛おしい時間について』とかラブロマンス+αが必要。
翻って今作はなんというか不器用な2人の同棲パートがなんかニヤニヤしてしまって好きだった。僕は別に同性を愛した経験はないけど、好きな人に意地悪してしまったりあっち行けっていってホントはいってほしくなかったりとかは身に覚えがあるので一々いいなぁと思った。風邪ひいて看病してあげたり、体拭いてあげたり、タバコをキスみたいにして火をつけてあげるのとか萌えた。
チャン・チェンが元気そうなので『クーリンチェ殺人事件』見たあととしてはひと安心できる。
イグアスの滝いきたーい。

③というか殿堂入り:
ホドロフスキーのDUNE(2013、フランク・パヴィッチ)
TSUTAYAで借りた初見の映画より自分が持ってて何回も見てる映画にジーンときたのでランクインというか殿堂入り。
約束された伝説みたいなのに弱いんだと思う。
ドキュメンタリーなのに劇的。とっても詩的。
こういう映画になりたいと思うし、ホドロフスキーみたいなジジイになりたい。
ホドロフスキーは『七人の侍』でいう勘兵衛で、『マグニフィセントセブン』のサム・チザム。あの2人より粗にして野だが卑ではない男。
とにかく見てる間ずっとワクワクしてドキドキして最後はしんみりしてジーンときてずるい映画。
オールタイム・ベストに入れそびれたけど日によっては上位に入れる。
なにかを作る人間のための勇気と希望の塊。
世界を照らそうとするものはその身を焼かねばならない。って冒頭の言葉が鬼かっこよい。
あとこの前ギーガーの絵を見たから動くギーガーが見れるという意味でも貴重。

《まとめ》
愛されるよりも愛したい、それくらい人に会ってない月、5月。