テラノハ

言葉は涙だ。とベケットは言った。

女子力が嫌いだ〜問題のあるレストラン5話をみました

引き続き問題のあるレストランを視聴しています。
5話が刺さりに刺さったのでちょっと書きます。

今回はビストロフーのメンバーではなくてライバルビストロ=シンフォニックで働くあいりちゃん(高畑充希)がほぼメインです。
このあいりちゃん、いわゆるキラキラ女子とよばれるゆるふわな可愛さを纏って、その傷つきやすい内面をどうにか取り繕っています。

5話のあらすじとしては

なかなかお客さんが来ないビストロフーはランチボックスを売り出したり、バレンタインディナーを企画するが強大な資金力をバックにシンフォニックがそのアイデアを安価で提供して苦戦。
最終的には親子連れへの対応の差で明暗が分かれる。

で問題のシーンはシンフォニックで働くあいりちゃんとそれをやたらつけ回す池辺のくだりですよ。
池辺はもうなんか怖い。優しさを履き違えてやたらあいりを触るし、ロッカーを整理したよとかいって漁ってるし、おまけにごはんの誘いをお腹の調子が悪いと断ると引き下がるのではなく生理痛の薬を買ってくるという珍プレーで切り抜けようとするなど、もうこれでもかとアイタタタな男として描いています。
これはイケメンがやってたらとかそういうんじゃないんですよ。

たとえば今から12年も前の『電車男』という作品はモテないオタク男子がとても綺麗な女の人にアプローチしていき、愚直さで勝利を掴んだと言ってもいいお話です。
ああ、正直者は救われるんだなーとか見た目より中身なんだなーとか思ったような気もします(ここでひきあいに出しましたが電車男は普通に面白いです)。
でも電車男の最大の勝因は愚直さではなくて、イケメン描写特有の俺様的態度を一切取らなかった(取れなかった)ところにあると思います。

恋愛に奥手だから、(掲示板でとはいえ)他人に行動の是非を問い、悩み、不快感を与えることを極力避けて行動した。だからこそ電車男エルメスに引かれずに済んだと思います。

翻って池辺は(誇張であるとはいえ)、いわゆるマンガやドラマの記号的なイケメン的態度(髪を触るなどのボディタッチ、過剰すぎる気配り)をします。相手の迷惑を顧みず、よかれと思って。

このよかれと思ってがこわい!
あいりちゃんも直接波風が立つようなことを言えないのでどんどんエスカレートしていく池辺の奇行。
どうしてこんなに池辺を目の敵にしているかというと、一歩間違えば僕も似たような男になっていた可能性が(過去、未来ふくめ)あるからです。

よく気がつくことと相手のしてほしいことをするのが優しさではありません。
相手のされていやな事をしないのも優しさなのです。…ぼくが残念な男だったかは大学時代の友人に聞くとして…。


今回どうしても書きたかったのは行き場を失ったあいりちゃんがたまたまたま子達のマンションに転がり込んで堰を切ったようにまくし立てるセリフが辛かったからです。
「お尻触られてもなんにも感じない教習所 卒業したんで」
「その服 男ウケ悪いよとか言われても ああ すいません 気を付けます って返せる教習所も卒業したんで」
「どうしてしずかちゃんがいつもダメな男と金持ちな男と暴力振るう男と一緒にいるかわかりますか?」
「上手に強く生きてる女っていうのは気にせず 許して 受け入れて」
などなど…

たまこの返し
「気にしなくていいなんて言う人は あなたの心を殺そうとしてるんだよ」
そこにハイジさん
「女子力なんて男に都合のいい言葉じゃ本当の強さは測れないのよ」

女同士すぐそうやって癒し合う、そのままでいいんだよとかはトイレのカレンダーに書いといてください
というあいりちゃんの精一杯の強がりもまた辛かった。

僕は常々女子力という言葉が嫌いでそれは主に飲み会で料理を取り分けた時によく言われるからです。
僕がとりわけたのにも関わらず。
「女子力高いね」とかよく言われるのがとても嫌です。
料理を取り分けることは女の役目じゃない。
おれは早くごはん食べたいから取り分けただけじゃといつも思います。
あいりちゃんは強がって強がって男の人に奢られた金額で女の価値が決まると信じて生きてきてしまった。それで本人が幸せならいいけれど、今はまだ若いからチヤホヤしてもらえるけど、もっと若い子が出てきたらそのチヤホヤも終わるのだろうなと思って辛くなります。

自分の若さとか女らしさを武器にするのはいいけれど、それが他者に依存した幸せである以上嵐がきたら残酷に失われてしまう。
僕は女の人ではないのにこんなことを気にしてフェミっぽいかもしれない。
だけど『マッドマックス 怒りのデスロード』をみて僕は学んだのです。
自由は与えられるものではなく、獲得するものだと。

どうかあいりちゃんも幸せになれますように。
どうか池辺が相手は自分とは違う他者であると気づける日が来ますように。